Dry Needling と娘のこと

先週末娘を連れて理学療法 (Physical Therapy)に行って来たので、今日はそのお話を。でもその前にちょっと前置きが…

娘(今17歳)は中学一年生の時から数回脳しんとうを起こし、その後遺症で偏頭痛、めまい、眼、胃腸、などに色々と支障をきたして来ました。外科、脳外科、心臓外科、胃腸科、などなどあらゆる先生に数年にわたり見てもらいましたが、普通の病院や医師からはありふれたアドバイスと薬を処方されるだけで、これだ!と言った治療はなく、娘の症状もあまり良くならず、逆にひどくなっていきました。とにかく薬を処方されるだけで、その薬もどんどん強いものになっていきました。熱意をもってくれる医師にも会えませんでした。2度ほど偏頭痛が酷すぎて救急に駆け込んだこともありますが、その時に病院でできることといえば、点滴に強い薬を入れて、偏頭痛を紛らわせることだけでした。

そういう状況に嫌気がさして、娘と私たちはどんどん西洋医学から離れたことを試し始めました。と言ってもホリスティックなことでなく、薬を使わない整体や鍼、理学療法などです。モントリオールでは素晴らしい整体の先生に会いました。その整体のおかげで、娘の体調は数ヶ月ほど随分良くなりましたが、続きませんでした。でも藁にもすがる思いで、数ヶ月でも楽になるなら、とその後に2度ほど治療してもらいました。

娘にとって一番きつかったのは学校でした。後遺症で人が沢山いる所や、音や蛍光灯に敏感になってしまっていたので、カナダに行ってある程度良くなって帰って来ても、結局学校に戻るとまた元通りの症状に戻ってしまうので、高校2年の冬に学校を辞めること決め、とにかく少しでも元気になることに専念することにしました。これはおそらく一番大きな決断で、のち娘はこの時のことを大学受験のエッセイに書いてました。

学校を辞めてから、少しずつ整体に行ったり、ジムに行ったりしていましたが、これと言ってできるセラピーなどはなくて、どうしようかと思っていた時に、同僚の友人の娘さんがやはり脳震盪で娘と同じような状況にいて、カナダのドクターのところに行く、という話を聞きました。そこはトロントから1時間弱のところで、先生と電話でのコンサルティング(無料で1時間以上お話ししました)で行くことに決めました。「まぁうまくいかないかもしれないけれど、とりあえず行ってみるか」程度の期待しかなかったのですが、結果的にこの先生が娘の状況を画期的に改善してくれました。(写真はDr. Mooreと)

 

この先生が行なっているのは、Transcutaneous Electrical Nerve Stimulation -TENS (経皮的末梢神経電気刺激法) に似ている微弱な電流を流す機械を使って、事故やトラウマなどで硬くなっている筋肉の部分を柔らかくし、その後理学療法と運動で神経や筋肉を通常の状態に戻すセラピーです。娘は2週間毎日ここに通い、最後の日には滞在中に習った運動をして、自分の力で頭痛をなくすことができました。娘は今でも調子が悪くなると、この運動をして痛みを緩和させることができます。理学療法と運動をすることによって、服用していた薬も全部やめることができました。

現在でも娘は理学療法と時々整体に通っています。大検も終えて、今はコミニュティカレッジに通い、秋からは四年生大学の学生になります。ただやはり筋肉がすぐ硬くなりやすく、それを緩和させるために、勧められたドライニードルをしに、お隣のペンシルバニア州にいって来ました。(ニュージャージー州ではドライニードルは理学療法士はできないそうです)

長くなりましたが、ここからがドライニードルのお話。

私はドライニードルのこと自体知らなかったのですが、見た目は鍼のようなのですが、実は根本的なコンセプトが鍼とは違っているらしいです。鍼は体表のツボを問題とし、ドライニードルは筋肉内の痛む部位を問題とするかの違いらしいです。娘が好きだった過去の治療のおそらく一番が「鍼」だった(残念なことに頭痛には全く効果がなく、胃腸とアトピーに一番効いたのですが)ので娘はこの治療をちょっと楽しみにしていました。

針を痛む場所にさすと、実際に痛いところなので鍼よりも痛く、それにTENSで電流を流すと、筋肉がピクピクして来ます。20分ほどそのピクピク状態を続けておしまい。今回は初めてだったのでお手柔らかだったようですが、せっかく柔らかくなった筋肉をもっと良い状態にするために、今後はドライニードルの後に、少しずつ運動も取り入れて行くようです。嬉しいことにこのセラピーは理学療法の一部なので、保険がききます。(鍼はもちろん保険が効かず、一回行くごとに150ドルで、それを週二回3ヶ月続けたのでかなりの額でした。)

 

 

西洋医学も私たちの経験のように合う合わないがあるでしょうが、もし痛みに悩んでいて、薬の他にできることはないかな、と考えているならば、他のことを試してみる価値は絶対にあると思います。なんでもやってみたら何か自分に合っていることが見つかるかもしれません。

健康が何よりも一番です。

カバーの写真はGuelph, Ontario Canada

2 Comments

  1. かみの さちこ
    5月 6, 2018

    なるほど、ほんとに体の事を理解している人にしかつらさを分かる事も改善もできないって事ですね。
    元通りの元気はつらつに早くなって欲しいと遠くから見守っています。

    返信
    1. Sachiko
      5月 7, 2018

      いろんなことを試したからね。もっと試したいことはあるんだけど、経済的なこともあるから。あと娘が自分でできることを全部しているか、っていうとまだできることがたくさんあるのに続けていないのもあるし。それでも随分元気になったんだよ。大人にもなってきたから、自分の体を自分でコントロールすることができるようになってきたし。

      返信

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